こんにちは、ハクです。
今日も先輩に怒られた。明日もまた怒られるのではと、勤務前から気が重くなる。同期はもうできているように見えるのに、自分だけがいつまでも同じことで注意されている気がする。
「自分は仕事ができないのかもしれない」
「看護師に向いていないのかもしれない」
新人のうちは、こんなふうに考えてしまう時期があると思います。
僕が働いている救命救急の現場でも、先輩看護師から強く言われたことをきっかけに、「自分は向いていないのかもしれない」と悩んでいた後輩がいました。
後輩がどう感じ、どう乗り越えていったのかは、この記事の中で詳しくお話しします。
結論から先にお伝えすると、先輩に怒られたことと、看護師に向いていないことは別です。ただ、指摘された内容まで「気にしなくていい」で終わらせてしまうのも、僕は少し違うと思っています。
・「怒られる」と「向いていない」がイコールではない理由
・怒られた内容を「自分がダメ」と分けて考える方法
・怒られたあとに実践できる「3つの整理」
・先輩の指摘内容と言い方を切り分けて考える視点
・「看護師に向いていない」と感じたときに整理すべき4つの違い
・それでもつらいときに、一人で抱え込まないための考え方

怒られてばかりだと、自分を丸ごと否定された気持ちになりますよね。でも、怒られた内容と自分自身の価値は、実は別のところにあります。今日はその整理の仕方を一緒に考えていきましょう。
新人看護師が怒られてばかりでも「向いてない」とは限らない
「怒られる」ことと「看護師に向いていない」ことは、イコールではありません。
理由はシンプルで、新人が指摘を受ける場面には、能力や適性というより、まだ知識や経験が十分でないことが関係している場合があります。
具体的には、新人のうちは次のようなことが起こりやすいものです。
・知識がまだ少ない
・経験したことがない場面に対応する
・優先順位をつけるのが難しい
・報告がうまくできない
・時間配分が難しい
・一度教わったことでも、実際の場面では動けない
これらは「適性」ではなく、経験や学習によって変えられる部分です。学生時代にどれだけ勉強していても、実際の現場での判断力やスピード感は、経験を積む中でしか身につかない部分が大きいと僕は感じています。
もちろん、「新人だから怒られて当然」と言いたいわけでもありません。怒られること自体を目的化する必要はなく、大切なのは怒られた事実そのものではなく、「何を指摘されたのか」を見ることです。ここを次の章で詳しく整理していきましょう。
「自分がダメ」ではなく「何を指摘されたのか」を分けて考える
怒られたときにまずやってほしいのは、「自分はダメだ」という感情と、「何を指摘されたのか」という事実を分けて考えることです。
感情のまま受け止めてしまうと、指摘された内容そのものが見えなくなり、同じ失敗を繰り返しやすくなってしまいます。逆に、指摘の中身を具体的に見ていくと、原因ごとに対処の仕方が全く違うことに気づいていくでしょう。
新人が指摘を受けやすい場面には、いくつかのパターンがあります。一つずつ見ていきます。
知識が足りなかった
知識不足を指摘されたときは、まず「分からなかった内容」を具体的に言葉にすることが第一歩です。
漠然と「知識が足りない」と落ち込むよりも、「どの部分が分からなかったのか」を特定したほうが、次の行動につなげやすいからです。
たとえば、疾患の理解が浅かった、薬剤の作用機序が説明できなかった、というように具体化できたら、次の勤務までにその一つだけを確認していきます。
すべてを完璧に覚え直そうとするのではなく、指摘された一点に絞って復習することが、結果的に一番身につきやすい方法です。
日々の学習の進め方に迷っている場合は、新人看護師の勉強法も参考にしてみてください。
優先順位を間違えた
優先順位を間違えたと指摘されたときは、正解を覚え直す前に「なぜその順番で動いたのか」を振り返ることが大切です。
その場ではその場なりの理由があって行動しているからです。「バイタルより先に記録を書いてしまった」というときも、何を優先すべきと考えていたのかを思い出すことで、判断の癖が見えてきます。
正解の順番だけを覚えるより、自分がどう考えて動いたかという判断過程を見直すほうが、次に似た場面に出会ったときに応用が利くでしょう。
報告がうまくできなかった
報告について指摘されたときは、「何を伝えるべきだったのか」を整理し直すことがポイントです。
新人のうちは、経過をすべて話そうとして要点がぼやけてしまったり、逆に情報が足りなかったりすることがよくあります。これは伝え方の技術の問題であって、「報告が苦手だから看護師に向いていない」ということではありません。
今伝えるべき一番重要な情報は何かを、一言でまとめる練習を重ねることで、報告は少しずつ整理しやすくなっていきます。
急変時など緊急性の高い場面での報告の型については、急変時の看護師の対応でも詳しく取り上げているので確認してみてください。
確認せずに行動してしまった
確認不足を指摘されたときは、「分からないことを聞くのは新人として必要な行動」だと捉え直すことが大切です。
聞くことを恥ずかしいと感じてしまうと、かえって確認せずに動いてしまい、結果的に大きな指摘につながることがあります。
特に患者さんの安全に関わる部分は、曖昧なまま進めないことが原則です。「聞いたら迷惑かもしれない」という遠慮より、「確認せずに進めるほうがリスクが大きい」という考え方を優先していきましょう。
同じことを何度も指摘されている
同じ内容を繰り返し指摘されている場合は、少し踏み込んで考える必要があります。
一度や二度の指摘であれば、経験不足として自然なことです。ただ、同じ指摘が何度も続いているなら、「なぜ改善できていないのか」という部分にまで目を向けたほうがいいというのが僕の考えです。
「全部気にしなくていい」で終わらせてしまうと、根本的な原因にたどり着けません。メモの取り方が合っていないのか、勉強の仕方が合っていないのか、確認のタイミングが遅いのか、仕事の組み立て方に無理があるのか。
原因によって対処法は変わってくるので、まずはどこに当てはまりそうかを考えてみることが、次の一歩につながるでしょう。

怒られたあとにやってほしい「3つの整理」
怒られたあと、感情のまま落ち込んで終わるのではなく、事実を整理して次の行動につなげることが大切になります。
理由は、「怒られた→落ち込む→とりあえず勉強する」という流れでは、何を変えればいいのかが曖昧なまま終わってしまいやすいからです。整理の手順を決めておくことで、同じ失敗を繰り返しにくくなります。
具体的には、次の3つのステップで整理します。
①何を指摘された?
感情ではなく、事実だけを書き出します。「怒られた」ではなく、「〇〇の確認を怠っていた」というように、指摘された内容そのものを言葉にします。
②なぜそうなった?
知識不足・確認不足・経験不足・優先順位の間違いなど、原因を分類します。前の章で挙げたパターンのどれに近いかを考えると整理しやすくなります。
③次の勤務で何を1つ変える?
ここが一番重要な部分です。たとえば「報告が分かりにくい」と言われたなら、次は報告する前に「一番伝えたいこと」を一つだけ決めておく、というように、具体的で小さな行動に落とし込みます。
まとめると、怒られた→落ち込む→勉強する、という流れではなく、怒られた→原因を整理する→次の行動を1つ変える、という流れに変えることが、この整理の目的です。一度にすべてを改善しようとせず、次の勤務で変えることを一つだけに絞ることが、続けやすさにつながります。

救命救急で「向いていないかも」と悩んでいた後輩の話
ここで、僕が実際に関わった後輩のエピソードを紹介します。
看護師3年目で、ICUに異動してちょうど3か月が経った頃でした。
ある日、彼女が受け持っていた患者さんに対して、医師からいくつもの指示が同時に出されました。
点滴の準備、モニターの調整、他科への連絡など、やることが重なり、彼女一人で対応するには明らかに厳しい状況でした。それに気づいた周りのスタッフが、声をかけながら準備を手伝ってくれました。
その様子を見ていたリーダー看護師から、「自分の受け持ちなんだから、自分でやらないと何も覚えないよ」と言われていました。
彼女はそのとき、目の前のことでいっぱいいっぱいになっていました。それでも周りに助けてもらいながら何とか対応していたところにその一言を受けて、「これができないと、ICUではやっていけないんだ」と思い込んでしまい、その場で泣いてしまいました。
後から状況を振り返ると、その場面は誰が見ても、一人では対応しきれない状況でした。実際に手伝ったスタッフたちも、彼女の対応が悪かったとは感じていませんでした。
一方で、リーダー看護師に話を聞くと、「忙しいときこそ、できる範囲は自分でやらないと、いつまでも覚えられない。だから、大変でもやってほしかった」という思いがあったそうです。指導としての意図自体は、決して的外れなものではありませんでした。
つまりこの場面は、「指摘の中身が間違っていた」わけでも、「後輩の対応が悪かった」わけでもありませんでした。
状況が重なった中で、指導の意図と、受け取る側の余裕とのタイミングがすれ違ってしまった、というのが実際のところだったと思います。
僕が彼女に伝えたのは、「あの場面は、一人で対応するには物理的に厳しい状況だった。手伝ってもらったこと自体は間違っていない」ということでした。
そのうえで、「リーダーが伝えたかったのは、余裕があるときには自分でやり切る積み重ねの大切さだったんだと思う。でも、今回みたいに手が回らない場面まで、全部一人でやる必要はない」という話もしました。
「向いていないから助けてもらった」のではなく、「あの状況なら助けてもらって当然だった」。
この違いに気づけたことで、彼女は少しずつ、周りに助けを求めることと、自分でやり切ることの線引きを、自分なりに持てるようになっていきました。
「できないことがある」ことと、「ICUに向いていない」ことは、同じではありません。この経験は、僕自身がそう確信するきっかけの一つになっています。
先輩の言い方が強いときは「指摘内容」と「言い方」を分けて考える
先ほどのICUでの後輩のケースも、まさにこのパターンでした。
「自分でやらないと覚えない」という指摘の中身自体は的外れではなかったものの、余裕のない状況で言われたことで、彼女には強く突き刺さる言葉として届いてしまいました。
先輩からの指摘が強い口調だったとき、「指摘の中身」と「言い方の強さ」は分けて考える必要があります。
この二つを一緒にしてしまうと、内容自体は正しい指摘であっても、「強く言われた=自分がダメだった」という受け止め方になってしまい、本来学ぶべき部分が見えにくくなるからです。
指摘内容に改善できるところがある
まず、指摘された内容そのものに改善できる部分があるかどうかを確認します。
言い方がきつかったとしても、内容自体が的を射ている場合は、その部分は素直に次に活かします。
言われ方に感情が動いても、内容を無視してしまうのはもったいないことです。指摘の中身だけを取り出して、自分の行動に反映させることを意識していってください。
言い方が必要以上に強い
一方で、言い方が必要以上に強いと感じる場合もあります。
このとき、「強く言われた=自分の評価が低い」と受け取る必要はありません。
指摘の強さは、その先輩の伝え方の癖や、そのときの状況によるところも大きいものです。内容は参考にしつつも、言い方の強さそのものを自分の評価として受け止めすぎないようにすることが、心を保つうえで大切だと思います。
指導ではなく人格否定になっている
ただし、明確に線を引くべき場面もあります。指摘の内容が業務改善のためではなく、人格そのものを否定するような言葉になっている場合です。
こうした状況について、「患者さんのためだから仕方ない」と片付ける必要はありません。指導と人格否定は、はっきり別のものです。
もしこうした状況が続いているなら、一人で抱え込まず、プリセプターや教育担当、師長など、相談できる相手に状況を伝えてください。
それでも「看護師に向いていない」と思ったときに考えてほしいこと
指摘内容を整理し、言い方の問題も切り分けたうえで、それでも「看護師に向いていない」と感じることがあるかもしれません。
そのときは、何が合っていないと感じているのかを、もう少し細かく分けて考えてみることをおすすめします。
「向いていない」という感覚は、実は原因によって意味がまったく異なるからです。ひとまとめにしてしまうと、本当の課題が見えにくくなります。
看護師そのものが向いていないのか
そもそも看護という仕事自体が合っていないと感じているのか、という視点です。患者さんと関わること自体に強い抵抗を感じるのか、それとも別の理由なのかを考えてみます。
今の部署が合っていないのか
看護という仕事は嫌いではないけれど、今の部署の忙しさやスピード感、求められる判断のスタイルが自分に合っていないと感じているケースもあります。
指導している先輩との関係がつらいのか
仕事内容そのものより、特定の先輩との関係性がつらさの中心になっている場合もあります。この場合、部署や仕事内容を変える以前に、指導担当や相談先を変えることで状況が変わることもあります。
職場の教育環境そのものが合っていないのか
指導体制やフォロー体制が整っていない職場では、新人がつまずいたときのサポートが不十分になりがちです。個人の適性ではなく、教育環境側に課題がある場合もあります。
特に、「今の病棟が合わない」ということと、「看護師に向いていない」ということは、イコールではありません。
この違いを整理するだけでも、今後どう動けばいいかが見えやすくなります。
改善してもつらい状況が続くなら一人で抱え込まなくていい
ここまでの整理や行動を試しても、つらい状況が変わらないときは、一人で抱え込む必要はありません。
指摘内容を整理し、行動を変え、相談もしている。それでも状況が改善しないのであれば、それは本人の努力不足ではなく、環境側の要因が大きい可能性があるからです。
順番としては、次のように考えるとわかりやすいと思います。
・自分で指摘内容を整理する
・次の勤務で行動を一つ変える
・信頼できる先輩やプリセプターへ相談する
・それでも変わらなければ上司へ相談する
・部署の異動を検討する
・それでも難しければ、転職も選択肢に入れる
自分なりに改善して、周囲にも相談している。それでも強い叱責が続いたり、職場に行くこと自体がつらかったりするなら、「自分は看護師に向いていない」と決めつける前に、今の環境が自分に合っているのかを考えてみてもいいと思います。
「怒られてばかりでもう辞めたい」というところまで気持ちが向いている場合は、新人看護師が「辞めたい」と感じたときに考えたいことも参考にしてみてください。
救急という環境そのものが自分に合っているかどうかで悩んでいる場合は、救急看護師のきつさとやりがいでも、現場のリアルな部分を紹介しています。
新人看護師が怒られてばかりのときによくある質問
Q.新人看護師は怒られるのが普通?
知識や経験が足りないことによって指摘を受ける場面は、新人であれば誰にでもあります。
ただし、それは「怒られて当然だから我慢すべき」という意味ではありません。必要以上の叱責や人格否定は、また別の問題として考える必要があります。
Q.毎日怒られるのは仕事ができないからですか?
必ずしもそうとは限りません。「毎日怒られている」という事実だけを見るのではなく、何を指摘されているのかを一つずつ具体化して考えることが大切です。
同じ内容が続いているのか、毎回違う内容なのかによっても、見えてくる原因は変わってきます。
Q.先輩が怖くて質問できません
分からないことを分からないまま進めるほうが、患者さんの安全にとってはリスクが大きくなります。今の先輩に聞きにくいのであれば、別の先輩やプリセプターなど、相談する相手を変えることも一つの方法です。
質問できないこと自体を、自分の弱さと捉えすぎる必要はありません。
Q.怒られてばかりで辞めたいです
「辞める」か「我慢する」かをすぐに二択で決めなくても大丈夫です。
まずは何が原因になっているのか、誰に相談できるのか、今の部署や環境が自分に合っているのかを一つずつ整理してみてください。
そのうえで、それでも難しいと感じるなら、異動や転職も一つの選択肢として考えていいと思います。
まとめ|怒られた回数ではなく「次に何を変えるか」を考えよう
先輩に怒られたからといって、看護師に向いていないと決める必要はありません。
ただ、「気にしなくていい」で終わらせるのではなく、何を指摘されたのかを整理してみてください。
知識なのか、確認なのか、優先順位なのか、報告なのか。原因によって、次にやるべきことは変わってきます。
自分自身を否定するのではなく、「次の勤務で何を一つ変えるか」まで考えられれば、今日怒られた経験を次につなげることができるでしょう。
僕が関わった後輩も、最初は「向いていない」と落ち込んでいましたが、状況を一つずつ振り返っていくうちに、少しずつ変わっていきました。
今つらい状況にいる方にも、同じように変えていける部分があると僕は思っています。

怒られてばかりの毎日は、本当にしんどいと思います。それでも、指摘の中身を一つずつ整理していけば、必ず変えられる部分が見えてきます。今日の内容が、少しでも気持ちを軽くするきっかけになれば嬉しいです。



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