救急看護師が実践する情報収集のコツ【救急隊・家族から聞き出す質問】

救急現場のリアル

こんにちは、ハクです。

救急外来では、患者さんが運ばれてきてからの数分間で、その後の治療方針を左右するだけの情報を集めなければいけません。救急隊からの申し送り、動揺している家族への聞き取り。どちらも一つでも聞き漏らすと、後になって「あのとき確認しておけば」と悔やむことになります。

救命救急センターで10年以上働いてきた中で、情報収集の「聞くべき項目」と「聞き方」には、経験を重ねるほど気をつけるようになったポイントがあります。この記事では、その内容を実際のエピソードも交えて整理してお伝えします。

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この記事を書いた人

ハク救急・ICU看護師

救命救急センター勤務歴10年以上の現役ナース。認定看護師として院内教育・急変対応研修や学生への講義講師も担当。現場のリアルな経験をもとに記事を書いています。

この記事でわかること

・救急車要請時に最優先で確認する4項目
・ドクターカー・ヘリからの申し送りで聞き逃せないこと
・動揺している家族から情報を引き出すコツ
・「内服なし」で終わらせてはいけない理由

ハク
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情報収集は、ただ項目を埋める作業ではありません。何のためにその情報が必要なのかを理解していると、聞き方も変わってきます。今日はそのあたりを具体的にお話しします。

救急外来の初期対応は、情報収集の速さと正確さで決まる

救急外来での初期対応の質は、最初の数分でどれだけ正確に情報を集められるかにかかっています。

治療方針の決定も、薬剤投与の判断も、すべて「今わかっている情報」をもとに進めることになります。情報が不足したまま処置を進めると、後から方針を修正することになり、結果的に対応が遅れてしまいます。

これから紹介する救急隊・家族それぞれからの情報収集のポイントは、すべて「その情報がなぜ必要なのか」という目的とセットで押さえておくと、現場で聞き漏らしにくくなります。

救急車要請時に確認する4項目

救急車要請の連絡が入った時点で、僕は発症時間・症状・痛みの程度・家族の有無の4つを最優先で確認しています。

この4つが、受け入れ準備と初期対応の方向性を決める土台になるためです。特に痛みの程度は、可能であればNRS(0〜10の数値)で確認するようにしています。数値で聞ける状態であれば、必要時の痛み止め使用の判断にそのまま使えるからです。

家族の有無を確認するのは、単なる付き添いの確認ではありません。入院になるにせよ、帰宅になるにせよ、身寄りの情報がないと次のステップに進むスピードが落ちてしまいます。また、治療の方向性は本人だけの意思で決められない場面もあるため、早い段階で家族の状況を把握しておくことが重要です。

具体的には、次の4項目を要請時点でセットとして確認しています。

・発症時間
・症状
・痛みの程度(可能ならNRSで)
・家族の有無

ドクターカー・ヘリからの申し送りで聞き逃せないこと

ドクターカーやドクターヘリからの申し送りでは、治療内容に関する情報を正確に聞き取ることを特に意識しています。

車内・機内ですでに治療が始まっている場合、その内容を正しく引き継げないと、院内での対応に直接支障が出るためです。

具体的には、次のような情報を必ず確認しています。

・投与した薬剤と、その投与時刻
・使用したデバイスの種類とサイズ(挿管チューブなら何mmか、など)

薬剤の投与時刻がわからないと、院内でさらに追加投与する際に重複投与のリスクが生じます。また、チューブなどのデバイスは、万が一事故抜去が起きた際にすぐ同じサイズのものを準備できるよう、種類とサイズを正確に把握しておく必要があります。治療の継続性に直結する情報なので、聞き逃しは許されない部分です。

家族からの聞き取りのコツ ― 落ち着いた表情と目線を合わせること

動揺している家族から必要な情報を引き出せるかどうかは、聞き方そのもので大きく変わります。

事務的に矢継ぎ早に質問すると、家族はさらに動揺し、かえって情報が出てこなくなることがあります。目線を合わせ、落ち着いた表情で聞くことで、家族も少しずつ状況を話しやすくなります。

具体的には、次の項目を、責めるような聞き方にならないよう意識しながら確認しています。

・これまで通院したことがあるか
・現在内服しているものがあるか
・(内服がある場合)お薬手帳を持っているか

この聞き方の姿勢は、次に紹介するエピソードともつながってきます。

「内服なし」で終わらせない ― サプリメントの見落としリスク

家族や本人から「内服はない」と言われても、僕はそこで確認を終わらせず、サプリメントの有無まで踏み込んで聞くようにしています。

サプリメントは本人にとって「薬」という認識がないことが多く、内服薬の確認だけでは申告から漏れやすいためです。しかし、体への影響という点では、薬剤と同様に無視できません。

実際に、腹部の痛みを訴えて来院した患者さんがいました。採血では肝機能の数値が上昇しており、CT画像では特に問題は見当たりませんでした。薬剤の影響が疑われる状態でしたが、本人は最近新しく内服を始めたものはないとのことでした。しかし詳しく聞いていくと、本人の判断で毎日飲み始めていたサプリメントがあることがわかりました。断定はできませんが、そのサプリメントが影響していた可能性は十分に考えられる状況でした。

このケースを経験してから、「内服はありますか」という質問だけでなく、「サプリメントや健康食品を飲んでいますか」まで必ずセットで確認するようにしています。

一次評価の考え方については、ABCDEアプローチの記事でも詳しく解説しています。

まとめ

救急外来での情報収集は、「何を聞くか」だけでなく「どう聞くか」「どこまで聞くか」が質を大きく左右します。救急隊からは治療内容を正確に、家族からは落ち着いた姿勢でお薬手帳やサプリメントまで踏み込んで確認する。この積み重ねが、その後の治療方針の精度を支えています。

現場で使っている道具については、こちらの記事でも紹介しています。

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ハク
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情報収集は地味に見えて、実は救急対応の質を一番左右する部分だと感じています。日々の申し送りや問診の中で、「なぜこの情報が必要なのか」を意識してみると、聞き方も自然と変わってくるはずです。


出典・注記:本記事の内容は個人の臨床経験に基づくものであり、実際の対応は各医療機関のプロトコルや医師の指示に従ってください。

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