副雑音の種類と聴き分け方|笛様音・いびき音・捻髪音・水泡音を解説

救急現場のリアル

こんにちは、ハクです。

「先生に『ちょっと聴いてみて』と言われたけれど、何が聴こえているのか分からない……」

聴診は学校で習っていても、実際の患者さんを前にすると急に自信がなくなることがあります。特に副雑音は、「wheeze」「rhonchi」「fine crackles」「coarse crackles」など呼び方が多く、最初は混乱しやすいところです。

さらに、「笛様音」「いびき音」「捻髪音」「水泡音」と日本語の呼び方も加わるため、

「結局、何と何が同じ音なの?」

となりやすいのではないでしょうか。

副雑音を覚えるときは、4種類を一気に暗記するより、まず「連続して聴こえる音か、断続的に聴こえる音か」で分けると整理しやすくなります。

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この記事を書いた人

ハク救急・ICU看護師

救命救急センター勤務歴10年以上の現役ナース。認定看護師として院内教育・急変対応研修や学生への講義講師も担当。現場のリアルな経験をもとに記事を書いています。

この記事では、副雑音の代表的な4種類について、聴こえ方・特徴・関連する病態を比較しながら解説します。

この記事でわかること

・副雑音の基本的な分類(連続性と断続性)
・笛様音・いびき音・捻髪音・水泡音の違い
・捻髪音と水泡音の見分け方
・いびき音が聴こえたときに確認したいこと
・「湿性ラ音」という呼び方の考え方
・副雑音を医師へ報告するときの伝え方

ハク
ハク

「何の音か分からない」は、誰でも最初は通る道です。名前を当てようとする前に、まず「連続か断続か」から一緒に整理していきましょう。

結論|副雑音はまず「連続性」と「断続性」に分ける

副雑音を聴き分けるときは、最初から4種類の名前を当てようとしなくても大丈夫です。

まず、

音が連続しているのか、断続的なのかを確認します。

連続性副雑音なら、次に高い音か低い音かを確認します。断続性副雑音なら、細かい音か粗い音かで考えます。

整理すると次のようになります。

分類音の特徴代表的な名称
連続性・高音性ヒューヒュー、ピーピーwheeze(笛様音・笛声音)
連続性・低音性グーグー、ゴロゴロrhonchi(いびき音・類鼾音)
断続性・細かいパリパリ、チリチリfine crackles(捻髪音)
断続性・粗いブツブツ、ボコボコcoarse crackles(水泡音)

つまり、

連続性 → 高いか低いか

断続性 → 細かいか粗いか

という順番で考えると、4種類を整理しやすくなります。

4種類の分類を一目で理解できる図解

そもそも副雑音とは?

副雑音とは、呼吸に伴って正常な呼吸音に加えて聴取される異常な音です。

副雑音には、肺や気道から生じるラ音のほか、胸膜摩擦音などがあります。日本内科学会の資料でも、肺性副雑音は断続性ラ音、連続性ラ音、そのほかの音に分けて整理されています。

この記事では、その中でも看護の現場で耳にすることが多い、

wheeze(ウィーズ)、rhonchi(ロンカイ)、fine crackles(ファインクラックル)、coarse crackles(コースクラックル)の4種類を中心に扱います。

大切なのは、音の名前を当てることだけではありません。

どこで、いつ、どのような音が聴こえているのかを確認し、呼吸数やSpO2、呼吸困難感などと合わせて評価することが重要です。

副雑音4種類の違いを比較

まず4種類の特徴をまとめます。

種類分類聴こえ方のイメージ聴こえやすい時相関連する代表的な病態
wheeze(笛様音)高音性連続性副雑音ヒューヒュー・ピーピー呼気で目立ちやすい気管支喘息、COPDなど気道狭窄
rhonchi(いびき音)低音性連続性副雑音グーグー・ゴロゴロ吸気・呼気気道内分泌物など
fine crackles(捻髪音)細かい断続性副雑音パリパリ・チリチリ吸気後半に目立ちやすい間質性肺炎、肺線維症など
coarse crackles(水泡音)粗い断続性副雑音ブツブツ・ボコボコ吸気早期から聴こえることがある肺炎、肺水腫、気道内分泌物など

疾患名だけで副雑音を決めつけることはできません。

例えば同じ肺炎でも、病変の場所や分泌物の状態などによって聴診所見は変わります。

そのため、表はあくまで「どんな病態で聴こえやすいか」を整理するための目安として使ってください。

連続性副雑音|wheezeとrhonchi

連続性副雑音は、一定時間持続して聴こえる音です。

代表的なのがwheeze(ウィーズ)とrhonchi(ロンカイ)です。

笛様音・笛声音(wheeze)|高音性連続性副雑音

wheeze(ウィーズ)は、

「ヒューヒュー」「ピーピー」

と表現される、高く連続した音です。

日本語では「笛様音」「笛声音」などと呼ばれます。

気管支などの気道が狭くなり、空気が通過するときに生じる音で、気管支喘息などで代表的に聴取されます。日本内科学会の資料でも、wheezesは高調性連続音で、気管支内腔が狭窄した病態を示唆するとされています。

呼気時に目立つことが多いのも特徴です。

ただし、

「wheezeがある=喘息」

と病名を決めることはできません。

聴診だけでなく、呼吸数、SpO2、呼吸困難感、呼吸補助筋の使用、会話ができるかなども合わせて確認します。

また、両側性なのか局所的なのかも重要な情報です。

僕自身、心不全の患者さんでwheezeが聴こえていたのに、自分では気づけなかった経験があります。

その患者さんは呼吸が苦しそうで、SpO2も普段より低下していました。医師へ報告した際に「呼吸は大丈夫?」と聞かれ、僕は「副雑音はありません」と答えました。

しかし、その後に医師が聴診すると、「wheezeが聴こえるよ」と言われました。

この経験から、副雑音は教科書で特徴を覚えていても、実際の患者さんで聴き分けるのは簡単ではないと実感しました。同時に、音の名前に自信がなくても、呼吸苦やSpO2低下など、自分が確認できた異常をきちんと伝えることが大切だと感じています。

いびき音・類鼾音(rhonchi)|低音性連続性副雑音

rhonchi(ロンカイ)は、

「グーグー」「ゴロゴロ」

と表現される、低く連続した音です。

日本語では「いびき音」や「類鼾音」と呼ばれます。

気道内の分泌物などが関係して生じることがあり、痰が多い患者さんや気道クリアランスが低下している患者さんで聴取することがあります。

wheezeが比較的高い「ヒューヒュー」という音なのに対し、rhonchiはもっと低く、太い音として聴こえるのが違いです。

いびき音が聴こえたときに看護師が確認したいこと

いびき音を聴いたからといって、すぐに「吸引すればよい」と判断するのではなく、まず患者さん全体を評価します。

確認したいのは、呼吸数、SpO2、呼吸困難感、痰の有無・量・性状、咳嗽力、意識状態、音が聴こえる部位などです。

痰があり、自力で排痰できる患者さんなら、咳嗽や排痰によって音が変化することがあります。

分泌物の貯留が考えられ、患者さん自身では排痰が難しい場合には、患者さんの状態や医師の指示、施設の手順に応じて排痰援助や吸引を行うことがあります。

その際に重要なのが、介入したあとにもう一度聴くことです。

例えば排痰後に、

「ゴロゴロした音が減った」「SpO2が改善した」「呼吸が楽になった」

といった変化があれば、ケア前後の違いを評価できます。

一方、咳嗽や排痰後も同じ場所で音が続く場合や、呼吸状態そのものが悪化している場合には、分泌物だけに原因を絞らず評価する必要があります。

rhonchiについては、ケアの前後で音の変化を実感した経験があります。

rhonchiが聴こえていた患者さんに、患者さんの状態に合わせて体位ドレナージと吸引を行い、その後にもう一度聴診するとrhonchiが消失していました。

その場には若手スタッフもいたため、ケア前後で実際の呼吸音を一緒に確認しました。

教科書で「rhonchiは分泌物と関連する」と読むだけでなく、実際の音を聴き、ケア後にどう変化したかまで確認することで、副雑音と看護がつながった場面でした。

僕自身も、こうした経験から「副雑音を聴いたら終わりではなく、ケアのあとにもう一度聴く」ことを意識するようになりました。

断続性副雑音|fine cracklesとcoarse crackles

断続性副雑音は、

「パチパチ」「ブツブツ」

のように、一つひとつが短く途切れて聴こえる音です。

代表的なのがfine crackles(ファインクラックル)とcoarse crackles(コースクラックル)です。

捻髪音(fine crackles)|細かい断続性副雑音

fine crackles(ファインクラックル)は、

「パリパリ」「チリチリ」「パチパチ」と表現される細かい断続音です。日本語では「捻髪音」と呼ばれます。髪の毛を耳元でこするような細かい音、と説明されることもあります。

吸気後半に目立つことが多く、間質性肺炎や肺線維症などで代表的に聴取されます。日本内科学会の研修資料でも、fine cracklesは高調性の短い断続音として整理されています。

聴診するときは、

どちらの肺野に聴こえるのか

左右対称なのか

どの高さまで聴こえるのか

にも注目します。

水泡音(coarse crackles)|粗い断続性副雑音

coarse crackles(コースクラックル)は、「ブツブツ」「ボコボコ」と表現される、fine cracklesより粗い断続音です。

日本語では「水泡音」と呼ばれることがあります。

肺炎、肺水腫、気道内に分泌物が貯留する病態などで聴取されます。日本内科学会の資料でも、coarse cracklesは低調性の短い断続音として整理され、肺炎や肺水腫などが代表例として挙げられています。

fine cracklesより音が粗く、吸気の早い段階から聴こえることがあります。

ただし、

「ボコボコするから肺水腫」というように、音だけで診断するものではありません。

肺水腫が疑われる場面なら、呼吸数、SpO2、呼吸困難感、起坐呼吸の有無、痰の性状、循環動態なども合わせて評価します。

捻髪音と水泡音の違い|fine cracklesとcoarse crackles

副雑音の中でも、「捻髪音と水泡音の違いが分からない」という人は多いと思います。

どちらも断続性副雑音なので、最初は同じ「パチパチした音」に聴こえることがあります。

違いを簡単に整理すると、次のようになります。

捻髪音水泡音
英語fine cracklescoarse crackles
音細かい・パリパリ・チリチリ粗い・ブツブツ・ボコボコ
音の高さ比較的高い比較的低い
聴こえ方細かく短い大きく粗い
時相吸気後半に目立ちやすい吸気早期から聴こえることがある
代表的な病態間質性肺炎・肺線維症など肺炎・肺水腫・分泌物貯留など

最初から疾患名を当てようとすると混乱します。

まず、「細かいのか、粗いのか」を意識して聴き、そのあと患者さんの状態と結びつけていく方が整理しやすくなります。

「湿性ラ音」とは?fine crackles・coarse cracklesとの違い

現場では、「湿性ラ音があります」という言葉を聞くことがあります。

一方、最近の教材では「fine crackles」「coarse crackles」と書かれているため、

「湿性ラ音って結局どの音?」と迷う人もいるかもしれません。

従来の呼び方では、湿性ラ音は現在の断続性ラ音(crackles)にあたる意味で使われ、乾性ラ音は連続性ラ音(wheeze・rhonchiなど)にあたる意味で使われてきました。

日本内科学会の研修カリキュラムでは、「湿性ラ音」という分類ではなく、断続性ラ音をfine cracklesとcoarse cracklesに分けて整理しています。

そのため、患者さんの状態を共有するときも、

「両側下肺野でfine cracklesを聴取します」

「右下肺野でcoarse cracklesを聴取します」

のように、音の種類と聴取部位を具体的に伝える方が情報を共有しやすくなります。

名称だけでなく、「どこで」「どのような音が」「吸気・呼気のどのタイミングで」聴こえたのかまで確認することが大切です。

副雑音を聴き分けるときの順番

副雑音を聴いたときに、いきなり病名を考える必要はありません。まず音そのものを整理します。

最初に「連続しているか、断続的か」を判断します。

連続しているなら、高い音なのか低い音なのかを確認します。高いヒューヒューという音ならwheeze、低いゴロゴロした音ならrhonchiを考えます。

断続的なら、細かい音か粗い音かを確認します。細かいパリパリした音ならfine crackles、粗いブツブツした音ならcoarse cracklesを考えます。

そのあと、

吸気・呼気のどのタイミングで聴こえるか、左右差はあるか、どの部位に聴こえるか、咳嗽や排痰で変化するか

を確認します。

最後に、呼吸数、SpO2、呼吸困難感、意識状態などと合わせて患者さん全体を評価します。

この順番で考えると、

「この病気だから、この音のはず」という決めつけを避けやすくなります。

聴診時の判断フロー

音のイメージで覚えると整理しやすい

副雑音は、文字だけを暗記しても実際の聴診ではなかなか結びつきません。

そのため、

wheeze=ヒューヒュー

rhonchi=ゴロゴロ

fine crackles=パリパリ・チリチリ

coarse crackles=ブツブツ・ボコボコ

というように、まず音のイメージと名称をセットで覚えると整理しやすくなります。

実際の患者さんでは教科書どおりの音に聴こえるとは限りません。

「これは絶対wheezeだ」と一回で決めるより、

「連続音だな」

「比較的高い音だな」

「呼気で目立つな」

と、一つずつ特徴を拾っていく方が聴診の練習になります。

副雑音の違いを聴き取るには、音の特徴を意識して繰り返し聴くことが大切です。聴診器選びで迷っている方は、看護師におすすめの聴診器も参考にしてください。

【参考記事】看護師におすすめの聴診器はリットマン3択【救急ナースが実際に使って比較】

副雑音だけで判断せず、B(Breathing)全体を評価する

聴診は、患者さんの呼吸状態を評価する方法の一つです。

僕自身、wheezeを聴き取れなかった経験がありますが、そのときも呼吸苦やSpO2低下は確認できていました。副雑音の種類を正確に言い当てることだけに集中せず、患者さんの呼吸状態全体を見ることが大切だと感じています。

副雑音が何かを言い当てられても、呼吸数が増えている、SpO2が低下している、努力呼吸があるといった重要な異常を見落としてしまっては意味がありません。

急変時には、ABCDEアプローチのB(Breathing)として、

呼吸数、SpO2、胸郭の動き、呼吸音、呼吸困難感などを合わせて評価する

ことが重要です。

ABCDEで具体的に何を観察するのかは、

「ABCDEアプローチ(ABCDE評価)とは?救急看護の一次評価を図解で解説」

で詳しく解説しています。

副雑音と一緒に呼吸状態が悪化している場合は、聴診だけを続けるのではなく、必要に応じて応援要請や医師への報告につなげます。

急変時の全体的な動き方は、

「急変時の看護師の対応|異変発見からABCDE・医師への報告まで」

にまとめています。

副雑音を医師へ報告するときは「音+患者の変化」を伝える

副雑音を聴取したとき、

「ラ音があります」

だけでは患者さんの状態が十分に伝わらないことがあります。

例えば、

「右下肺野でcoarse cracklesを聴取します。先ほどより呼吸数が増えていて、SpO2も低下しています」

のように、

聴こえた音+聴取部位+患者さんの変化

を合わせて伝えると、状況を共有しやすくなります。

音の名前に自信がない場合でも、

「右下肺野で、吸気時にボコボコした粗い音が聴こえます」

のように、実際に聴こえた特徴を伝える方法があります。

医師への報告をどう整理するかは、

「看護師の医師への報告はどうする?SBARの伝え方と具体例を解説」

で詳しくまとめています。

まとめ|副雑音は「分類→音の特徴→患者全体」の順に考える

副雑音は、名前だけを丸暗記しようとすると混乱しやすくなります。

まず、連続性副雑音なのか、断続性副雑音なのかを確認します。

連続性なら、高音性のwheezeか低音性のrhonchiか。

断続性なら、細かいfine cracklesか、粗いcoarse cracklesか。

この順番で整理すると、それぞれの特徴が見えやすくなります。

ただし、聴診で一番大切なのは、音の名前を正確に当てることだけではありません。「どこで聴こえたか」「左右差はあるか」「呼吸のどのタイミングか」「咳嗽や排痰で変化するか」

そして、「患者さんの呼吸状態はどうなっているか」まで合わせて評価することが重要です。

最初は、wheezeもrhonchiもcracklesも同じように聴こえるかもしれません。

それでも、患者さんを聴診するたびに、「連続か断続か」「高いか低いか、細かいか粗いか」を一つずつ意識していくと、少しずつ音の違いが分かるようになります。

ハク
ハク

最初から「これは○○音」と当てようとしなくても大丈夫です。まず「連続している?」「断続的?」「高い?粗い?」と特徴を分けて聴いてみると、少しずつ整理しやすくなります。

参考文献
・日本内科学会「新・内科専門医制度 研修カリキュラム」
 副雑音の分類として、断続性ラ音(fine crackles/coarse crackles)、連続性ラ音(wheezes/rhonchi)などを参考にしました。

丸山仁司「リスク管理 バイタルサイン」理学療法科学 2005;20(1):53-58
 従来の「乾性ラ音=連続性ラ音」「湿性ラ音=断続性ラ音」という呼称の整理を参考にしました。

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