ショックの4分類と見分け方|看護師が押さえたい徴候と初期対応

救急現場のリアル

こんにちは、ハクです。

ショックは、循環血液量減少性・心原性・血液分布異常性・閉塞性の4つに分類されます。見分ける際は、血圧だけでなく、意識・呼吸・末梢の状態・尿量などを合わせて確認することが大切です。

血圧が保たれていても、組織への血流が不足している場合があるためです。分類を覚えるとともに、患者さんにどのような変化が出ているかを捉える必要があります。

私も現場では、「パッと見て元気がない」「少し呼吸が速い」という印象をきっかけに、観察を進めています。血圧だけで安心せず、末梢の状態や尿量、体液バランスなどを確認することを大切にしています。

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この記事を書いた人

ハク救急・ICU看護師

救命救急センター勤務歴10年以上の現役ナース。認定看護師として院内教育・急変対応研修や学生への講義講師も担当。現場のリアルな経験をもとに記事を書いています。

この記事では、ショックの4分類と、看護師が観察・報告につなげたいポイントを解説します。

この記事で分かること
  • ショックの4分類と、それぞれの主な原因
  • 血圧以外に確認したいショック徴候
  • ショックを疑ったときの初期対応
  • 観察したことを医師に伝える報告のポイント
ハク
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4分類の名前を覚えても、患者さんを前にすると迷いますよね。「何を見て、どう伝えるか」まで、現場での視点を交えて整理していきましょう。

ショックとは?血圧低下だけでは判断できない

ショックとは、急性の循環不全によって、組織に必要な酸素の供給や利用が十分に保てなくなった、生命に関わる状態です。

血圧は重要な指標ですが、血圧の数値だけでは、組織に十分な血流が届いているかまでは判断できません。体が血管を収縮させることで、血圧が保たれている場合もあります。

例えば、血圧が保たれていても、反応が鈍い、手足が冷たい、尿量が減っているといった変化があれば、循環不全を疑う必要があります。

収縮期血圧が90mmHg台のときも、「90台あるから大丈夫」と判断せず、普段の血圧や全身状態と合わせて確認しましょう。

ショックの4分類と見分け方

4分類は、「血液・体液の不足」「心臓のポンプ機能の低下」「血流の分布異常」「血流の閉塞」という仕組みで整理すると理解しやすくなります。

原因によって必要な治療が異なるため、何が循環を妨げているのかを考えることが大切です。

分類主な仕組み代表的な原因
循環血液量減少性循環する血液・体液が不足する出血、脱水、体液の喪失
心原性心臓が十分な血液を送り出せない心筋梗塞、重い心機能障害、不整脈
血液分布異常性血管拡張などで血流の分布が乱れる敗血症、アナフィラキシー、脊髄損傷に伴う神経原性ショック
閉塞性血液の流れが物理的に妨げられる肺血栓塞栓症、心タンポナーデ、緊張性気胸

実際には、複数の仕組みが重なることもあります。一つの症状だけで分類を決めず、発症の経過や診察・検査と合わせて評価します。

循環血液量減少性ショック|出血と体液の喪失を確認する

循環血液量減少性ショックを考えるときは、出血の有無に加えて、体液が失われた経過を確認します。

循環する血液・体液が不足すると、心臓へ戻る血液が減り、全身に十分な血液を送り出せなくなるためです。出血性ショックは、この分類に含まれます。

観察や情報収集では、次のように整理します。

  • 出血:どこから、いつから、どのくらい出ているか
  • 排液:ドレーンなどの量や性状に変化がないか
  • 摂取:食事や飲水がどの程度できていたか
  • 喪失:嘔吐や下痢が続いていないか

「血圧が低い」という現在の情報に、そこに至るまでの経過を加えることがポイントです。

心原性ショック|心臓の機能やリズムの異常を考える

心原性ショックでは、心臓が血液を送り出せなくなっている原因を考えます。

循環する血液があっても、心臓の収縮力やリズムに大きな問題があれば、必要な血流を保てなくなるためです。

例えば、胸部症状の有無、心疾患の既往、心電図モニターの変化などを確認し、発症時刻と合わせて伝えます。

ただし、これらの情報だけで心原性と断定はできません。原因の評価には心エコーなども用いられるため、観察した変化を診察・検査につなげます。

血液分布異常性ショック|感染やアレルギーなどの背景を確認する

血液分布異常性ショックでは、感染や薬剤投与など、状態が変化した背景を確認します。

同じ分類でも、敗血症とアナフィラキシーでは必要な治療が異なるためです。

感染が疑われる患者さんで、呼吸数の増加、意識の変化、血圧低下などがあれば、敗血症を考えた迅速な評価につなげます。敗血症診療では、乳酸値の測定、培養採取、抗菌薬投与、循環管理などが進められます。

一方、薬剤投与などに続いて急に呼吸・循環の異常が出た場合は、アナフィラキシーも疑います。皮膚症状が目立たない場合もあるため、発疹の有無だけで判断しません。

アナフィラキシーの第一選択薬は筋肉内投与のアドレナリンです。直ちに応援を要請し、院内の手順や指示に沿って対応します。

閉塞性ショック|血流を妨げる原因を考える

閉塞性ショックは、血液の流れが物理的に妨げられて起こります。

心臓へ血液が戻る過程や、心臓から血液を送り出す過程が妨げられると、全身への血流が不足するためです。

代表的な原因は、肺血栓塞栓症、心タンポナーデ、緊張性気胸です。

急な状態変化を認めたときは、「いつから変わったか」「直前にどのような症状や処置があったか」を整理します。看護師がその場で原因を確定させようとせず、変化を速やかに共有することが大切です。

循環血液量減少性=血液・体液不足/心原性=ポンプ機能低下/血液分布異常性=血流の分布異常/閉塞性=血流の物理的な障害を、4分割の図

血圧以外に確認したいショック徴候

ショックを疑うときは、患者さんの様子を、観察できる具体的な所見に置き換えていきます。

「なんとなくおかしい」という印象だけでは、ほかのスタッフに状態が伝わりにくいためです。

私も、最初は「元気がなさそう」「呼吸が少し速い」という印象から確認を始めます。そこから、何がいつもと違うのかを一つずつ確認します。

意識と呼吸|「元気がない」「呼吸が速い」を具体化する

第一印象に違和感があれば、反応の仕方や実際の呼吸数を確認します。

普段との違いを具体的に捉えると、変化の程度を共有しやすくなるためです。

例えば、「元気がない」と感じたら、呼びかけへの返答や会話の様子を確認します。「呼吸が速そう」と感じたら、呼吸数を測り、呼吸の深さや努力呼吸の有無も観察します。

数値だけでなく、いつから、どのように変わったかも合わせて伝えましょう。

末梢の状態|冷たさや皮膚色を確認する

末梢循環は、手足の冷たさ、皮膚の色、毛細血管再充満時間(CRT)などを組み合わせて評価します。

血圧だけでは捉えきれない循環の変化を、皮膚の所見から確認できるためです。

私も、末梢が冷たい、チアノーゼがあるといったときは、血圧が保たれていても安心しないようにしています。

ただし、チアノーゼがあれば循環だけでなく、気道・呼吸の問題も考えます。呼吸状態やSpO₂、酸素投与の状況などを合わせて確認します。

尿量と体液バランス|量だけでなく時間と経過を見る

尿量や体液バランスは、「どの時間帯に、どのくらい変化したか」を確認します。

同じ尿量でも、集計した時間が違えば意味が変わります。また、IN・OUTの差だけでは、その内訳や直近の変化が分からないためです。

私も、ショックを疑う所見を伝えたうえで、尿量や体液バランスを意識して確認しています。

報告するときは、次の情報を整理すると伝わりやすくなります。

  • 尿量を集計した時間と、その間の量
  • それまでの尿量からの変化
  • 輸液や飲水などの入り
  • 出血や排液、嘔吐などの出

ただし、尿量が少ない、IN・OUTがマイナスという情報だけで、輸液が必要とは判断できません。輸液を追加するかは、循環の反応や心機能なども含めて評価します。

乳酸値|一度の数値だけで判断しない

乳酸値は、患者さんの状態と経時的な変化を合わせて評価します。

乳酸値の上昇は重要な所見ですが、低灌流以外の要因でも上昇するためです。乳酸値だけでショックを確定することはできません。

私は、血圧が保たれていても乳酸値が上がっていれば、ほかに気になる所見がないか確認します。

報告では、測定時刻、前回からの変化、同じ時間帯の全身状態を合わせて伝えると、経過を共有しやすくなります。

患者を中心に、意識・呼吸/末梢冷感・皮膚色/尿量・体液バランス/乳酸値を周囲に配置した観察ポイント図

ショックを疑ったときの看護師の初期対応

応援要請|分類が分かるまで待たない

ショックを疑ったら、原因や分類の確定を待たずに応援を呼びます。

原因を調べることと、生命に関わる異常への対応を並行して進める必要があるためです。

例えば、血圧の低下に加えて反応や呼吸の変化があれば、その時点で医師や周囲のスタッフに共有します。状態に応じて、院内の急変対応やRRSを要請してください。

ABCDE|生命に関わる問題から対応する

初期評価はABCDEに沿って進め、生命に関わる問題があれば、その場で必要な対応を行います。

ショックを疑っていても、気道や呼吸の問題が同時に起きている可能性があるためです。

例えば、呼吸の異常があれば循環の評価だけに集中せず、気道・呼吸を確認します。チームで役割を分担し、評価やモニター装着、必要な処置を進めます。

反応がなく、正常な呼吸がない場合は心停止を疑い、応援・AEDを要請して、BLSの手順に沿って対応します。

評価の順番は、【関連記事】ABCDEアプローチ(ABCDE評価)とは?救急看護の一次評価を図解で解説で確認できます。

医師への報告|所見と懸念をセットで伝える

報告では、確認した所見と「ショックを疑っている」という懸念をセットで伝えます。

数値の報告だけでは、何を心配し、どのような対応を求めているかが伝わりにくいためです。

次は、報告の組み立て方の例です。

「ショックを疑う所見があるため、すぐに診察をお願いします。収縮期血圧が90mmHg台で、普段より元気がなく、呼吸数が増えています。末梢冷感もあります」

実際の報告では、確認できた数値や所見に置き換えます。尿量や乳酸値などが分かっていれば追加しますが、情報がすべてそろうまで報告を待つ必要はありません。

私は、まず気になるショック徴候を伝え、そのうえで尿量や体液バランスなどを確認していきます。

報告の整理には、【関連記事】看護師の医師への報告はどうする?SBARの伝え方と具体例を解説も役立ちます。

再評価|対応後に何が変わったかを確認する

対応後は、実施した内容と患者さんの変化をセットで確認します。

処置を実施したことだけでは、状態が改善したかどうかは判断できないためです。

例えば、輸液や薬剤投与などのあとに、血圧、呼吸、意識、末梢の状態がどう変わったかを確認します。改善しない場合や悪化した場合は、速やかに共有して次の対応につなげます。

昇圧剤について学びたい方は、【関連記事】昇圧剤の種類と使い分け【現役救急ナースが解説】ノルアド・ドパミン・アドレナリンの違いとはも確認してください。

ショックを疑う → 応援要請 → ABCDE → 医師へ報告 → 再評価の横向きフロー

まとめ|ショックの知識を、観察と報告につなげよう

ショックの4分類を学んだら、患者さんの変化を捉え、報告するところまでつなげることが大切です。

分類の知識だけでは、目の前の患者さんに対応するための情報がそろわないためです。血圧と一緒に、意識・呼吸・末梢の状態・尿量などを確認しましょう。

押さえておきたいポイントは、次の4つです。

  • ショックは、循環血液量減少性・心原性・血液分布異常性・閉塞性の4つ
  • 血圧の数値だけで安心せず、全身状態と経過を確認する
  • ショックを疑ったら、分類の確定を待たずに応援を呼ぶ
  • 具体的な所見と懸念を伝え、対応後も再評価する
ハク
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私も、「なんとなく元気がない」「少し呼吸が速い」という印象から確認を始めます。気になる変化があれば一人で抱え込まず、まず共有しましょう。尿量や体液バランスも確認して、次の判断につながる情報を伝えていきます。

異変に気づいてからの動きを整理したい方は、【関連記事】急変時の看護師の対応|異変発見からABCDE・医師への報告までも確認してください。応援要請から評価・報告・再評価までの流れをまとめています。

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